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節税保険はどうなるのか!?

 先日、保険業界ではメガ級の激震が走りました。 もうご存知の方も多いかもしれませんが、国税庁から生命保険各社が「節税」効果をアピールしていた経営者向けの 「節税保険」について、税務の取り扱いを見直す案が示されました。

 ここで言う「節税保険」とは、解約返戻率が高く、毎月の保険料は法人で「損金(経費)」に計上できるような保険を指します。 現在、法人向けの商品としては、「全損」や「半損」や「1/4損」といった損金に計上できる生命保険があります。

 そして、これらの保険は一般的に解約すると80%以上の解約返戻金が戻ってくるものが多く、多くの法人で社長の退職金対策などに活用されています。 ところが、今後はこれらの保険の税務の取り扱いが大きく変わりそうです。実は今までも保険の税務の取り扱いはたびたび改正が入っていました。 具体的には、2006年に長期傷害保険=全額損金→4分の1損金、2008年に逓増定期保険=全額損金→2分の1損金、2012年にがん保険=全額損金→2分の1損金

 このように生命保険を使った節税については、保険会社と国税庁のいたちごっこが繰り返されていましたが、今回の改正は今までの改正の 中で一番インパクトが大きいのではないかと思います。

 現在の案では、ピーク時の解約返戻率が50%を超えるような「節税保険」は損金に算入できる金額がゼロになるか、大幅に減少する可能性が高いようです。

 私見では、影響が出るのは、これから新規に加入する保険のみこれらの変更が適用されるのではないかと思っています。また各社がこれらの保険から撤退する可能性も 非常に高いです。

 ですので、もしこのような退職金積立の保険などを検討されている場合は、 おそらく2月中ぐらいに加入することが必要になってくると思われます。 ご検討の方はできるだけ早めに手続を進めた方がよいと思われます。

 ただ「では急いで保険に入らないといけないのか?」ということになりますが、そんな事はありません。 というのも、この「節税保険」を使った節税スキームは、実態は純粋な節税ではなく単なる「課税の繰り延べ」に過ぎないからです。 税務上「損金」に計上された保険料は、最終的に解約した時に「益金」として計上しないといけないというルールになっています。 つまり支払った期では節税になりますが、「出口」では節税になった分の税金が増えるのです。

 保険会社の営業マンは「保険を解約したタイミングで理事長に退職金を支払えば今まで損金になっていた保険料で節税できて、 出口でも課税されません」という人もいますが、これは比較の対象が違います。 出口で課税されないのではなく、保険の解約による益金が役員退職金とという損金と相殺されているだけなのです。

 そうは言ってもこの「節税保険」にまったくメリットがないかといわれるとそんなことはありません。 万が一の場合の保険の機能も付いていますし、役員退職金まで待たずに今現在の税金を減らすことも可能です。

 保険を活用した節税については、じっくり考えたうえで、税理士などの専門家ともと 相談のうえ、判断するようにお願い致します。

 また詳細がわかりましたら共有させて頂きたいと思います。

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