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税務

消費税の簡易課税制度と原則課税制度の違いとは?

消費税の課税事業者になると、売上に対して預かった消費税を国に納める義務が生じます。
その際の計算方法として、「原則課税制度」と「簡易課税制度」の2つがありますが、それぞれの制度の違いや、どちらを選ぶべきかで悩まれる事業者の方は多いのではないでしょうか。 本記事では、中小企業・個人事業主の方が実務に役立つように、制度の違いやポイントをわかりやすく解説します。

消費税の基本とは?課税対象や納税義務をわかりやすく解説

消費税とは、商品の販売やサービスの提供など、国内での「取引」に対して課税される税金です。
原則として、年間の課税売上高が1,000万円を超えると、翌々事業年度から「課税事業者」となり、消費税の納税義務が生じます。
課税事業者となった場合、売上にかかる消費税(預り金)から、仕入や経費などにかかった消費税(支払金)を差し引いて、差額を納付します。 この計算方法が「原則課税制度」か「簡易課税制度」かによって大きく異なるため、自社に適した制度を選ぶことが大切です。

原則課税制度とは?仕入税額控除の計算方法と特徴を解説

原則課税制度は、売上にかかる消費税から、実際の仕入や経費で支払った消費税を正確に差し引いて納税額を算出する方法です。
これを「仕入税額控除」と呼び、帳簿とインボイス(適格請求書)の保存が必要です。

▶ 原則課税の計算例

売上:1,000万円(消費税100万円)

仕入:600万円(消費税60万円)

納税額:100万円 − 60万円 = 40万円

事業規模が大きくなると、より正確で透明な税務処理が可能となるのが特徴です。

簡易課税制度とは?みなし仕入率による消費税計算を解説

簡易課税制度は、実際の仕入額ではなく、業種ごとに定められた「みなし仕入率」を用いて仕入控除を行う方式です。
帳簿やインボイスの管理が簡素で済むため、小規模事業者や仕入の少ない業種に向いています。

▶ 簡易課税の計算例(小売業・みなし仕入率80%)

売上:1,000万円(消費税100万円)

控除額:100万円 × 80% = 80万円

納税額:100万円 − 80万円 = 20万円

簡易課税制度の適用条件とは?対象となる中小企業・個人事業主とは

簡易課税制度を選択できるのは、前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下の事業者に限られます。
さらに、適用するには「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署へ提出しなければなりません。
注意点として、一度選択すると2年間は原則課税制度に戻すことができません。制度選択は慎重に行う必要があります。

簡易課税制度のメリット・デメリット|仕入が少ない業種は有利?

◎ メリット

計算が簡単で、帳簿・請求書管理の負担が減少する
実際の仕入が少ない業種(士業・コンサル・IT系など)では節税効果あり
インボイス未対応の仕入先が多くても控除ができる

▲ デメリット

実際の仕入控除額の方が多い業種では不利になる
仕入が多い事業では、原則課税の方が有利になる場合も
制度変更に2年縛りがあるため、業績急変に対応しづらい

原則課税制度のメリット・デメリット|実額精算の強みと注意点

◎ メリット

実際の仕入・経費に応じた正確な税額計算が可能
事業規模が大きくなっても柔軟に対応できる
長期的な税務戦略を立てやすい

▲ デメリット

帳簿管理・インボイス保存など事務負担が大きい
インボイス制度導入後、仕入先が非対応だと控除ができない場合あり

簡易課税制度を選ぶ方法|届出の期限と注意点を税理士が解説

簡易課税制度を適用するには、「消費税簡易課税制度選択届出書」を事業年度開始日の前日までに所轄税務署へ提出する必要があります。
たとえば、4月1日開始の法人が簡易課税を使いたい場合は、3月31日までに提出しなければ適用できません。
また、2年間は原則課税制度に戻れないため、短期的な売上見通しや業種の収益構造を踏まえた選択が重要です。

まとめ

消費税の「原則課税制度」と「簡易課税制度」は、それぞれにメリット・デメリットがあり、業種や事業規模、収益構造によって適した制度は異なります。
「制度選びを間違えて損をした…」とならないよう、実際の数字をもとにシミュレーションを行うことが大切です。
ご自身で判断が難しい場合は、早めに税理士へご相談ください。
弊所では、制度選択のアドバイスから届出書の作成・提出までサポートしております。お気軽にお問い合わせください。

このコラムを監修した税理士

田代 健太郎

クロスト税理士法人 代表社員

近畿税理士会所属、登録番号126849号
税理士法人3社での勤務を経て、2015年に「田代健太郎税理士事務所」を設立。その後2018年に法人化し「クロスト税理士法人」に。
財務・税務調査の専門家として、決算申告業務、経営支援業務、独立・開業支援業務、医業福祉業の経営支援業務などの業務を提供。
法人に対する支援業務にとどまらず、生命保険・金融資産の検討・見直し、不動産運用に関するコンサルティング、
また相続申告、相続対策など、個人に対しても幅広い各種サービスを提供している。

書籍:「税務調査の良い受け方・正しい対応方法」、「会社経営者であれば知っておきたい節税のイロハ」、「創業計画書つくり方・活かし方」、ゼッタイ得する会社のつくり方はじめ方」、「相続の税金と対策」、「歯科医院経営の成功手法がわかる本」他。

クロスト税理士法人 https://crosst-tax.jp/

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