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ジュニアNISAは使える制度か!?

「ジュニアNISA」とは

 制度の概要についてですが、基本的には現在実施されているNISA制度と同じ仕組みです。 ただ、その対象となる人が乳幼児を含む20歳未満の子や孫であるため、 その運用にあたっては親や祖父母等が行うか、又は親や祖父母等の 同意が必要となります。

 平成27年度から平成35年度までの間に口座を開設して、非課税の期間は最長で5年です。 年間80万円まで投資が出来ますので、最大で400万円までの預け入れが可能となります。 そして従来からのNISA制度と同じように、上場株式等の売却益や配当金が非課税となる制度です。

 具体的な流れとして、ジュニアNISAは子供名義の2種類の口座が必要になります。 まず1つ目は両親又は祖父母が、子供や孫のために資金の受皿口座を 開設しなければなりません。 これを「課税J-NISA口座」といいます。この「課税J-NISA口座」に資金を 入れることからこの制度がはじまります。 次にこの資金で上場株式等を購入すると、2つ目の口座である 「J-NISA口座」で管理されることになります。 この「J-NISA口座」は株式等を管理するための口座であり、 実際の上場株式等の売却代金や配当金等は「課税J-NISA口座」 に入金されます。 そして最後に上場株式等の売却を行わない場合には、20歳となって最初に迎えた1月に、 同じ金融機関(証券会社や銀行)に今度は大人版の「NISA口座」が自動的に開設され、 そこに保有している上場株式等を移管させることとなります。

「重要なポイント」

 この「J-NISA口座」が従来からある大人版「NISA口座」と大きく異なる点は、 「基準年」というものが設けられており、その引出しが制限されることです。 具体的には、基準年(※)の前年の12月31日までは引き出すことが 出来ないこととなっています(原則的には)。

※基準年とは、その年の3月31日に18歳である年のことをいいます。 この制限に違反して引き出すと、本来非課税であるはずの払出日までの 上場株式等の譲渡益や配当金について、その払出時に20.315%の税率で 課税されてしまうのです。 さらに、その払出時に保有中の上場株式等についても譲渡があったものとして みなされます。譲渡益なら20.315%で課税ですし、逆に譲渡損が出た場合にも その損失は無かったものとみなされて他の譲渡所得と通算することも出来ない というかなり不利な扱いを受けることになってしまいます。

「まとめ」

 まず初めに行う「課税J-NISA口座」へ資金を入れることについて。 親や祖父母が子や孫の口座を開設して、その口座に年最大80万円の資金を 入れるということはまさに子や孫に対する贈与にあたりますが、 この80万円だけであれば非課税枠の110万円以内での贈与になりますので 贈与税が課税されるわけではありません。 ここで検討することは、払出しに制限を受けるような制度に貴重な 贈与税の非課税枠110万円を使ってしまっていいのかという点 ではないでしょうか。

 この制度を使った場合の最大のメリットは、堂々と親や祖父母から子や孫への 資金の流れが証明されている点です。 相続税の調査があった場合に必ず問題になるのが、「本当に贈与があったのか」、 「名義預金ではないのか」という部分です。贈与はあげる人ともらう人が双方に 贈与の認識があるということがとても重要となります。親はあげたつもりで 子に黙って貯金していたらこれは贈与とはならないのです。

 しかし、今回のこの制度であれば、もらう人にその認識が無くても制度として 贈与が成立します。それが最大のメリットといえます。

 とはいえ、上場株式等への投資ですので、将来子や孫が大人になった時に 相応の価値があるかどうかは全くわかりません。こんなものをもらうくらいなら 現金で残してもらえた方がうれしかったのに、ということになるかもしれません。 貴重な非課税枠110万円ですので使い方の判断は慎重に行いましょう。

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