お役立ちコラム

経営力向上計画 その2

前回に続き経営力向上計画について、ご説明をさせていただきます。

こちらは、各主務大臣へ経営力向上計画を提出することで経営者様が取り組まれたい事業内容について、税制、融資、補助金などで国が優遇をしてくれるものです。

経営力向上計画を作成されて提出することについては、特にデメリットはございませんので、積極的に取り組んでいただければと考えております。

弊所でも対応しておりますのでお気軽にご相談いただければと存じます。


≪概要≫(前回同様)

「経営力向上計画」は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画で、認定された事業者は、税制や金融の支援等を受けることができます。また、計画申請においては、経営革新等支援機関のサポートを受けることが可能です。

簡単にまとめますと下記の4つについて、優遇を受けることができます。

 ・税金の計算で優遇してもらえる。

 ・融資審査で優遇される。

 ・補助金申請の際に採択される可能性がアップする。

 ・事業承継をスムーズに行うための特例がある。


≪税制優遇措置≫

税制優遇の内容では主に設備の取得に関するものと事業承継に関するものがございます。

まずは、設備関係に関するもののご説明となります。


【中小企業経営強化税制】

 1.概要

  青色申告書(税務署へ青色の承認申請を受けているという意味です。)を提出する中小企業者等が、指定期間内に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得等して指定事業の用に供した場合に、税制面で優遇を受けることができます。


 2.中小企業者等とは

 下記のいずれかに該当する必要がございます。

  ・資本金又は出資金の額が1億円以下の法人

  ・資本金又は出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人

  ・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人

  ・協同組合等

  ※別途該当しない例もございますので、末尾のURLよりご確認いただければと存じます。

 3.指定期間とは

  平成29年4月1日から令和5年3月31日までの期間です。

 4.一定の設備とは

 下記の3つに分かれます。

  ・生産性向上設備(A類型)

  ・収益力強化設備(B類型)

  ・デジタル化設備(C類型)

  細かな設備の内容は後述致します。

 5.指定事業とは

  製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、小売業、一般旅客自動車運送業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、料理店業その他の飲食店業(一定の類型を除き(注4参照)、料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブ、その他これらに類する事業を除きます。)、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、損害保険代理業、情報通信業、駐車場業、学術研究、専門・技術サービス業、不動産業、物品賃貸業、広告業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、医療、福祉業、社会保険・社会福祉・介護事業、教育、学習支援業、映画業、協同組合(他に分類されないもの)、サービス業(他に分類されないもの)

(注1)中小企業投資促進税制の対象事業に該当する全ての事業が中小企業経営強化税制の指定事業となります。

(注2)電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、娯楽業(映画業を除く)等は対象になりません。

(注3)風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業に該当するものを除きます。

(注4)風俗営業に該当するものは、①料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する飲食店業で生活衛生同業組合の組合員が営むもの、②宿泊業のうち旅館業、ホテル業で風俗営業の許可を受けているもの、以外は指定事業から除かれます。


 6.一定の設備

 ≪生産性向上設備(A類型)≫

  1.設備の要件内容

   下記の2つの要件を満たす必要がございます。

   ①一定の期間内に販売されたモデル(最新モデルである必要はないです。)

   ②経営力の向上に資するものの指標が旧モデルと比較して年平均1%以上向上する設備であること。


  2.対象設備の種類

   ①機械装置(※1、5)

    最低価額:160万円以上

    販売開始時期:10年以内

   ②工具(測定工具及び検査工具が対象)

    最低価額:30万円以上

    販売開始時期:5年以内

   ③器具備品(※2、6)

    最低価額:30万円以上

    販売開始時期:6年以内

   ④建物附属設備(※3、5、6)

    最低価額:60万円以上

    販売開始時期:14年以内

   ⑤ソフトウェア(設備の稼働状況等に係る情報収集機能及び分析・指示機能を有するもの)(※4.、6)

    最低価額:70万円以上

    販売開始時期:5年以内


   ※1 発電の用に供する設備にあっては、主として電気の販売を行うために取得又は製作をするもの(経営力向上計画の実施時期のうちで発電した電気の販売を行う期間中の発電量のうち、販売を行うことが見込まれる電気の量が占める割合が2分の1を超える発電設備等。以下同じ)を除く。

   ※2 医療機器にあっては、医療保健業を行う事業者が取得又は製作をするものを除く。

   ※3 医療保健業を行う事業者が取得又は建設をするものを除くものとし、発電の用に供する設備にあっては主として電気の販売を行うために取得又 は建設をするものを除く。

   ※4 複写して販売するための原本、開発研究用のもの、サーバー用OSのうち一定のものなどは除く。

   ※5 発電設備等の取得等をして税制措置を適用する場合には、経営力向上計画の認定申請時に「発電設備等の概要等に関する報告書」及びその記載内 容を証する書類の添付が必要となります。

   ※6 働き方改革に資する減価償却資産であって、生産等設備を構成するものについては、本税制措置の対象となる場合があります。質疑応答事例(国税庁)をご参照ください。

    https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/04/16.htm

  3.手続き関係

  下記の流れで手続きを進めます。

   ① 設備ユーザーは、当該設備を生産した機器メーカー等(以下「設備メーカー」)に証明書の発行を依頼。

   ② 工業会等から証明書の発行を受けた設備メーカーは、依頼があった設備ユーザーに証明書を転送。

   ③ 設備ユーザーは、②の確認を受けた設備を経営力向上計画に記載し、計画申請書及び その写しとともに②の工業会証明書の写しを添付して、主務大臣に計画申請。主務 大臣は、計画認定書と計画申請書の写しを設備ユーザーに交付。

   ④ 認定を受けた経営力向上計画に基づき取得した経営力向上設備等については、税法上 の他の要件を満たす場合には、税務申告において税制上の優遇措置の適用を受けること可能。税務申告に際しては、納税書類に②の工業会証明書、③の計画申請書及び計画認定書(いずれも写し)を添付が必要。


今回は以上となります。

次回は経営力向上計画の内、税制優遇の収益力強化設備(B類型)からご説明を進めさせていただきます。

経営力向上計画はメリットが多くある制度となりますので、適用要件に該当する場合には積極的に取り組んでいただければと思います。

注意点としましては、申請書を作成し認定を受けるまでに期間がかかる点です。

皆様の決算月にあわせてスケジュール調整が必要な場合にはご注意ください。

特に申請書類を提出してから認定が下りるまでの期間は申請者側ではコントロールできない期間となります。

今後の皆さまの事業に少しでもお役に立てれば幸いです。

ありがとうございました。


【参考】

 経営力向上計画策定の手引き

  https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/pdf/tebiki_keieiryoku.pdf

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