決算書から収益性を見る①
決算書にはたくさんの数字が並んでいますが、その数字から今現在の会社の状況を分析することで、今後の方向性がおのずと見えてくることでしょう。
今回は、会社の分析をするために必要な視点の一つ「収益性」に着目してみたいと思います。
「収益性」とは何?
収益性とは、売上に占める利益の割合のことを言います。
損益計算書の売上と利益に着目し、比率(利益率)で考えます。
会社経営は、根本的な収益である「売上」を確保することが基本です。
会社を継続させることはもちろん、儲からなければ運営している意味がありません。
収益性の分析とは、文字通りどれだけ会社が儲かっているかを見るものですが、ただ、単純に利益が大きければ良いというものではありません。
どれだけ効率良く利益を出しているか がとても大切になります。儲けた金額ではなく、売上の割合に対してどうかというところに注目することが大切です。
例えば、費用で考えてみましょう。
売上をあげるために費用を惜しみなく使っていたのでは、利益は出ず、費用によって会社の継続が難しくなることもあります。そのようにならない為にも、売上に対する費用の配分を考え、できるだけ利益率を上げていくことが必要です。
決算書の利益には、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益と5段階ありますが、そのうち分析において重要なのは、売上総利益と営業利益、当期純利益です。
「売上総利益率」
売上に対する「商品やサービスそのもの」の収益性を見る
(割合が高いほど商品力が高く、割合が低いほど商品力が低い)
売上総利益率(粗利率)= 売上総利益 ÷ 売上高 × 100(%)
「営業利益率」
売上に対する「主となるビジネス」の収益性を見る
(比率が高いほど本業の収益力が強く、比率が低いほど本業の収益力が弱い)
営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100(%)
「当期純利益率」
売上に対する「会社の全活動」の収益性を見る
(比率が高いほど最終的な収益力が高く、比率が低いほど最終的な収益力が低い)
当期純利益率 = 当期純利益 ÷ 売上高 ×100(%)
この中で、特に本業での収益性、会社の実力を示す営業利益率がもっとも大切です。
営業利益率は業種によって違いがありますので、同業他社と比較するのも良いでしょう。
関連リンク
法人企業統計
https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/results/2019.7-9.pdf