法人成り その10(損益通算)
今回は、損益通算は法人と個人事業でどちらの方が経営者様にとって良いか、それぞれの事業形態に沿ってご説明致します。
そもそも損益通算って?
個人事業では、所得税法という法律に則って、個人の所得(儲け)は大きく10種類に分けられます。
それぞれの種類ごとに所得が計算され、最終的にすべての種類の所得を合算し税金が計算されます。
所得の種類は
不動産所得、事業所得、譲渡所得、給与所得、一時所得などです。
所得を合算する際に、例えば不動産所得と事業所得がある個人事業の方で下記の場合、
不動産所得 100万円(利益)
事業所得 △60万円(損失)
不動産所得100万円と事業所得△60万円が合算され、40万円の利益に対して税金が課税されます。
このように別の所得の利益と損失を合算することを損益通算と言います。
個人事業の場合、所得の種類によって、この損益通算をすることができるものとできないものがあります。
損益通算できる所得
不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得(不動産、株式等以外)
※不動産所得は土地に係る利子は損益通算できません。
損益通算できない所得
利子所得・配当所得・給与所得・退職所得・譲渡所得(不動産・株式等)
一時所得・雑所得
※譲渡所得について不動産譲渡は他の不動産譲渡とのみ損益通算・株式等も他の株式等とのみ損益通算できます。不動産譲渡には居住用のものを譲渡した場合など特別な規定が他にもございます。今回は説明を割愛させていただきます。
法人の損益通算は?
法人の場合は、法人税法という法律により会社の利益は一本化されます。
そのため、事業活動により生じた利益や損失は自動的に通算される形になります。
個人事業のように損益通算できるものできないものに分ける必要がなく、シンプルに利益を把握することができ、税負担も法人の方が軽くなることが多いです。
個人事業の損益通算について簡単にご説明をしましたが、本来であれば各所得の種類で計算方法が違い、損益通算も不動産所得での注意点、譲渡所得での注意点などなど。かなり複雑なルールがございます。
急な損失が発生した場合や逆に大きく利益が出た場合などに、決算時の利益をシミュレーションし税金対策をするためには、法人の方がスピーディーな経営判断が可能だと考えられます。
今回は以上となります。
ご参考いただければ幸いです。