雇用調整助成金(令和3年6月23日時点)
【厚生労働省からの発表】
厚生労働省から新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金が令和3年8月末まで継続する予定であることが令和3年6月17日に発表されました。
従来通り「地域特例」「業況特例」に該当する場合には、一人一日当たりの上限額は15,000円のままとなります。9月以降の助成内容は7月中に改めて発表される予定です。
下記に雇用調整助成金の要件等を列挙いたします。
≪雇用調整助成金の支給対象者≫
下記の1~3に該当する場合には、助成金の支給対象者となります。
1.雇用調整の実施
新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に従業員の雇用を維持する目的で労使間の協定に基づき、休業を実施する事業主が雇用調整助成金の支給対象となります。
下記の文言については必要な条件を記載します。
①「新型コロナウイルス感染症の影響」とは
新型コロナウイルス感染症の影響で売り上げが減少していること。
②「事業活動の縮小」とは
売上高または生産量などの事業活動を示す指標の最近1か月間(休業を開始した月(その前月または前々月でも可))の値が1年前の同じ月に比べ(※1.2)5%以上減少していることです。
※1. 1年前の同じ月を比較対象とすることが適当でない場合は、2年前の同じ月との比較が可能。
※2. 1年前や2年前の同じ月と比較しても要件を満たさない場合、休業した月の1年前の同じ月から休業した月の前月までの間の適当な1ヶ月との比較が可能。
いずれの場合も、比較する月は1か月間を通して雇用保険適用事業所であり、かつ、1ヶ月を通して雇用保険被保険者を雇用している月である必要があります。
③「労使間の協定」とは
雇用調整助成金は、休業の実施時期や日数、対象者、休業手当の支払い率などについて、事前に労使との間で書面による協定がなされ、その決定に沿って実施することを支給要件としています。
労使とは、事業主と労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者のことです。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響により、事前に書面による協定を結ぶことが難しい場合は、労働組合等との確約書等による代替が可能です。
2.その他の要件
下記の①~③の要件を満たしている必要があります。
①雇用調整助成金の申請時と支給決定時に雇用保険適用事業主であること。
雇用保険被保険者を1人以上を雇用する必要がございます。
②雇用調整助成金の受給に必要な書類を整備し、労働局等へ提出するとともに、保管すること。
労働局等から提出を求められたら速やかに提出すること。
③労働局等からの実施調査に拒否することなく受け入れること。
3.不支給要件
雇用調整助成金の受給する事業主は、下記のいずれにも該当していないことが必要です。
・暴力団又は暴力団員又はその関係者である。
・事業主等又は事業主等の役員等が、破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行った又は行う恐れがある団体等に属している。
・倒産している。
・雇用関係助成金について不正受給を理由に支給決定を取り消された場合、労働局が事業主名等を公表することに承諾していない。
※次の①と②のいずれの場合も、緊急対応期間の特例として、雇用調整助成金の不支給措置期間に「緊急対応期間中に雇用調整助成金を受給した期間」を、緊急対応期間後から追加されることを承諾した場合は、本助成金を申請することができます。
①過去に申請した雇用関係助成金について不正受給による不支給決定又は支給決定の取り消しを受けたことがあり、当該不支給決定日又は支給決定取消日から3年または5年の不支給措置期間を経過していない場合
②他の事業主において平成31年4月1日以降に申請した雇用関係助成金の不正受給に関与した役員等が、申請事業主に所属している場合
ただし、過去の不正受給について、返還すべき請求金が課されている事業主の場合には、支給申請の日までに全て返還している場合に限ります(他の事業主の不正受給に関した役員等が所属している場合も同じです。)
≪雇用調整助成金における休業等は≫
休業とは、労働者がその事業所において、所定労働日に働く意思と能力があるにもかかわらず、労働することができない状況をいいます。(労働の意思がない場合、労働能力が喪失している場合は対象となりません。)
≪支給の対象となる期間と日数≫
支給の対象となる期間と日数は、次のとおりです。
1.対象期間
雇用調整助成金は、1年の期間内に実施した休業について支給対象となりますが、この1年の期間を「対象期間」といいます。
休業を行う場合は、雇用調整助成金を受給しようとする事業主が指定することができます。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い事業活動の縮小を余儀なくされた事業主(以下、特例事業主と言う。)で、休業した対象期間の初日が令和2年1月24日から令和2年12月31日までの間にある場合は、雇用調整助成金の対象期間は令和3年12月31日までとなります。
2.判定基礎期間
休業を行う場合、原則として対象期間内の実績を1ヶ月単位で判定し、それに基づいて支給がなされます。この休業の実績を判定する1ヶ月単位の期間を「判定基礎期間」といいます。
「判定基礎期間」は原則として、毎月の賃金の締め切り日の翌日から、その次の締め切り日までの期間です。ただし、毎月の賃金の締め切り日が特定されない場合などは暦月とします。
3.支給対象期間
雇用調整助成金は、通常は毎月の「判定基礎期間」ごとに支給申請をします。このとき支給申請する判定基礎期間を「支給対象期間」といいます。複数の判定基礎期間を同時に申請することも可能。
4.支給限度日数
雇用調整助成金を受けることができる支給限度日数は、1年間に100日分、3年で150日分が上限です。ただし、緊急対応期間中に実施した休業は、この支給限度日数に含まれません。
≪助成額≫
雇用調整助成金の助成額は、①×②に休業した延べ日数を乗じて算出します。1人1日当たりの上限額は、判定基礎期間の初日が令和3年5月1日から7月31日までの場合は13,500円(判定基礎期間の初日が令和3年4月30日以前の場合は15,000円)です。
① 休業を実施した場合に支払った休業手当に相当する額(※1)
② 助成率(中小企業4/5)(※2)
ただし、解雇等を行わず雇用維持を行う場合
中小企業:判定基礎期間の初日が令和3年5月1日から7月31日までの場合は、9/10
※1 次の①~③までのいずれかの方法で計算をします。
①前年度1年間における雇用保険料の算定基礎となる賃金総額を、前年度1年間における1ヶ月平均の雇用保険被保険者数及び年間所定労働日数で割った額に、休業手当の支払い率をかけた額
②初回の判定基礎期間の初日が属する年度または前年度の任意の月に提出した給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書の支給額を人員及び月間所定労働日数で割った額に、休業手当の支払い率をかけた額
③小規模事業主(従業員がおおむね20人以下)の場合は、実際に支払う休業手当の総額
※2 緊急対応期間を1日でも含む判定基礎期間の場合の助成率
今後の情勢により期間の延長や助成金額の変更などが発表されていくと考えられます。
変更等があれば順次こちらのコラムでも掲載をさせていただきます。
厳しい情勢が続きますが、皆さまのお役に立てれば幸いです。
(参考)
雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html#procedure
雇用調整助成金等・休業支援金等の助成内容
https://www.mhlw.go.jp/content/11603000/000794142.pdf