法人成り その8(経営者のための退職金)
経営者に退職金を支給する際は法人と個人事業で大きな違いがあります。
退職金は税制上かなり優遇されている所得となりますので、ご参考いただければ幸いです。
【退職金の税金のお話し】
退職金は個人が会社に勤めていた期間に基づき、個人へ支給されるお金です。
会社内で定める退職金規定により計算されます。
退職金は個人が支給を受けることになるので、所得税法により税金が計算されます。
税金が課税される所得金額を計算する方法は下記の通りです。
( 退職金支給額 - 下表図1 ) × ※1/2 = 退職所得金額
※勤務期間が5年以下である場合には上記算式での「1/2」は計算されませんので、ご注意ください。
図1:退職所得控除額 |
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勤続年数 |
退職所得控除額 |
20年以下 |
40万円×勤続年数(80万円以下の場合には80万円) |
20年超 |
800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
≪計算例≫
前提:勤務期間35年、退職金支給額2,000万円
(2,000万円 - ※1,850万円)× 1/2 = 75万円
※800万円+70万円×(35年-20年)=1,850万円
つまり、2,000万円の退職金の内、75万円に対して税金が課税されるので算出される所得税額は4万円相当です。
退職金は所得税の中でもかなり優遇されている規定です。
では、法人と個人事業での違いです。
【法人】
経営者(代表取締役)へ退職金を支給することができます。
また、家族従業員へも退職金を支給することができます。
【個人事業】
経営者へ退職金を支給することはできません。
個人事業では経営者への退職金を支給するという考え方はございません。経営者が退職するという事は事業が終了するという事となるためです。
また、生計が一緒の家族にも退職金を支給することはできません。
法人と個人事業を比べますと、法人の方が退職金という方法で会社も経費計上することにより節税ができ、経営者も低い税額で会社から経営者へ資金を移す事ができます。
法人での退職金計上はあらゆる面から有効な方法と考えています。
今回は以上となります。
ご参考いただければ幸いです。