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第5回 ビットコイン税務上の取り扱い

従来、ビットコインの所得税の課税区分については明確な定めがありませんでしたが、国税庁はビットコインの売買及び物品の購入等による損益は、原則として「雑所得」とする旨の見解を示しました。

雑所得とは、本業以外での原稿料や印税、講演料などであり、雑所得にかかる「総収入金額-必要経費」で計算されます。ビットコイン取引での利益もこれに含まれるとされました。

ビットコインは仮想通貨ですので、固定された価値があるものではありません。このため、円や外貨に換算したときの価値は日々変動しています。

1単位あたり100円だったものが1カ月後に200円に価値が上がっていれば、その差額分だけ「損益」が生じているということになります

そこへ累進課税が適用されるため、所得税の最高税率45%(+住民税10%=55%)が課税される可能性があります。

さらに雑所得は課税年度単位での計算となるので、例えば今年に損失が出て、次の年に利益が出ても損失を繰り越すことができません。

つまり2018年中にビットコインを換金したり何かを購入した場合には、2018年分の所得として2019年3月15日までに確定申告を済ませて納税する必要があるのです。

ただし、給与所得を得ており確定申告が不要なサラリーマンは、給与所得、退職所得以外に得た所得の合計が20万円以下の場合は確定申告を行わなくてもよいルールとなっています。

従って、雑所得が他にない場合はビットコインの利益が20万円までなら「所得税」の支払いを行わないことも可能になりますが、「住民税」の支払いは金額に関わらず別途必要になります。

確定申告を行えば別途での住民税の申告手続きは不要になるため、利益が出た場合は確定申告を行っておく方が良いと考えられます。

ちなみに、ビットコインを使用することの利益とは下記のようなものが例に挙げられます。

・ビットコインを円に売却した

・ビットコインを他の仮想通貨と交換した

・ビットコインで物品を購入した

・売買代金の対価をビットコインで受け取った

ビットコインを含む仮想通貨は、取引参加者が急激に増えてきたにも関わらず納税ルールが不明瞭な状況ですので、進んで納税を行うことに心理的抵抗がある側面も挙げられます。

しかし日本において環境整備が進められ、仮想通貨取引をより一般化していくためにも、今回の国税庁からの指示に従い、仮想通貨取引にかかる利益について適切な納税を行っていくことが利用者には必要と考えられます。


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