お役立ちコラム

経営力向上計画 その4

前回に続き経営力向上計画について、ご説明をさせていただきます。

今回はデジタル化設備(C類型)についてとなります。

主に遠隔操作、データの集約・分析、自動制御化を目的として投資する設備に対して優遇されるものになります。要件を満たす場合には、特にデメリットはございませんので、積極的に取り組んでいただければと考えております。

弊所でも対応しておりますのでお気軽にご相談いただければと存じます。


≪概要≫(前回同様)

「経営力向上計画」は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画で、認定された事業者は、税制や金融の支援等を受けることができます。また、計画申請においては、経営革新等支援機関のサポートを受けることが可能です。

簡単にまとめますと下記の4つについて、優遇を受けることができます。

 ・税金の計算で優遇してもらえる。

 ・融資審査で優遇される。

 ・補助金申請の際に採択される可能性がアップする。

 ・事業承継をスムーズに行うための特例がある。


≪税制優遇措置≫(前回同様)

税制優遇の内容では主に設備の取得に関するものと事業承継に関するものがございます。

まずは、設備関係に関するもののご説明となります。


【中小企業経営強化税制】

1.概要

 青色申告書(税務署へ青色の承認申請を受けているという意味です。)を提出する中小企業者等が、指定期間内に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得等して指定事業の用に供した場合に、税制面で取得価額の即時償却又は取得価額の10%(資本金が3000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除を選択できます。


2.中小企業者等とは

 下記のいずれかに該当する必要がございます。

 ・資本金又は出資金の額が1億円以下の法人

 ・資本金又は出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人

 ・常時使用する従業員数が1,000人以下の個人

 ・協同組合等

  ※別途該当しない例もございますので、末尾のURLよりご確認いただければと存じます。


3.指定期間とは

  平成29年4月1日から令和5年3月31日までの期間です。


4.一定の設備とは

 下記の3つに分かれます。

  ・生産性向上設備(A類型)

  ・収益力強化設備(B類型)

  ・デジタル化設備(C類型)


5.指定事業とは

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、小売業、一般旅客自動車運送業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、料理店業その他の飲食店業(一定の類型を除き(注4参照)、料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブ、その他これらに類する事業を除きます。)、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、損害保険代理業、情報通信業、駐車場業、学術研究、専門・技術サービス業、不動産業、物品賃貸業、広告業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、医療、福祉業、社会保険・社会福祉・介護事業、教育、学習支援業、映画業、協同組合(他に分類されないもの)、サービス業(他に分類されないもの)

(注1)中小企業投資促進税制の対象事業に該当する全ての事業が中小企業経営強化税制の指定事業となります。

(注2)電気業、水道業、鉄道業、航空運輸業、銀行業、娯楽業(映画業を除く)等は対象になりません。

(注3)風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業に該当するものを除きます。

(注4)風俗営業に該当するものは、①料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する飲食店業で生活衛生同業組合の組合員が営むもの、②宿泊業のうち旅館業、ホテル業で風俗営業の許可を受けているもの、以外は指定事業から除かれます。


≪デジタル化設備(C類型)≫

 1.設備の要件内容

  下記の要件を満たす設備が対象となります。

  事業プロセスの①遠隔操作、②可視化、③自動制御化のいずれかを可能にする設備として、経済産業大臣(経済産業局)の確認を受けた投資計画に記載された投資の目的を達成するために必要不可欠な設備


 2.対象設備の種類(用途や細目に制限はございません。)

  ①機械装置(※1、5)

    最低価額:160万円以上

  ②工具

    最低価額:30万円以上

  ③器具備品(※2、6)

    最低価額:30万円以上

  ④建物附属設備(※3、5、6)

    最低価額:60万円以上

  ⑤ソフトウエア(※4、6)

    最低価額:70万円以上


  ※1 発電の用に供する設備にあっては、主として電気の販売を行うために取得又は製作をするもの(経営力向上計画の実施時期のうちで発電した電気の販売を行う期間中の発電量のうち、販売を行うことが見込まれる電気の量が占める割合が2分の1を超える発電設備等)を除く。

  ※2 医療機器にあっては、医療保健業を行う事業者が取得又は製作をするものを除く。

  ※3 医療保健業を行う事業者が取得又は建設をするものを除くものとし、発電の用に供する設備にあっては主として電気の販売を行うために取得又は建設をするものを除く。

  ※4 複写して販売するための原本、開発研究用のもの、サーバー用OSのうち一定のものなどは除く。

  ※5 発電設備等の取得等をして税制措置を適用する場合には、経営力向上計画の認定申請時に「発電設備等の概要等に関する報告書」及びその記載内容を証する書類の添付が必要となります。

  ※6 働き方改革に資する減価償却資産であって、生産等設備を構成するものについては、本税制措置の対象となる場合があります。質疑応答事例(国税庁)をご参照ください。

   https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/04/16.htm


3.「遠隔操作」「可視化」「自動制御化」とは?

 ①遠隔操作

 (1)デジタル技術を用いて、遠隔操作をすること

 (2)以下のいずれかを目的とすること

  A)事業を非対面で行うことができるようにすること

  B)事業に従事する者が、通常業務を通常の場所以外でできるようにすること


 ②可視化

 (1)データの集約・分析を、デジタル技術を用いて行うこと

 (2)(1)のデータが、現在行っている事業や事業プロセスに関係するものであること

 (3)(1)により事業プロセスに関する最新の状況を把握し経営資源等の最適化※を行うことができるようにすること


 ③自動制御化

 (1)デジタル技術を用いて、状況に応じて自動的に指令を行うことができるようにすること

 (2)(1)の指令が、現在行っている事業プロセスに関する経営資源等を最適化するためのものであること

 ※「経営資源等の最適化」とは、「設備、技術、個人の有する知識及び技能等を含む事業活動に活用される資源等の最適な配分等」をいいます。


4.手続き関係

 下記の流れで手続きを進めます。

 ① 申請書(様式1)に必要事項をご記入し、必要書類を添付の上、認定経営革新等支援機関の事前確認を受ける。

 ② 認定経営革新等支援機関より、「事前確認書(様式2)」を入手。

 ③ 申請者は、管轄する経済産業局に、事前にご連絡をした上で申請書等の一式を郵送。(返信用封筒の同封も必要)

 ④ 経済産業局より、概ね1ヶ 月以内に「確認書(様式3)」・申請書などの必要書類を入手。(③同封の返信用封筒にて返送されます。)

 ⑤ 申請者は、経営力向上計画申請書・確認書・確認申請書を添付して、主務大臣に申請。

 ⑥ 主務大臣は、計画認定書と計画申請書の写しを申請者に交付。


今回は以上となります。

デジタル化設備(C類型)も経済産業局から確認書を入手する必要がございますので、少し手間を感じるかと思いますが、制度に則った設備投資であれば必ず申請が可能なものです。設備投資までのスケジュールをご確認の上、取り組んでいただければと思います。

ありがとうございました。


【参考】

 経営力向上計画策定の手引き

  https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/pdf/tebiki_keieiryoku.pdf

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