お役立ちコラム

ブックレビューNO.9

 今回の本は、大嶋啓介さんの「てっぺん!の朝礼」です。現在居酒屋てっぺんは飲食業界だけでなく、異業種からも注目される存在となっていますので、ご存知の方も多いかもしれませんが、具体的にどのような違いがあるのか見てみたいと思います。

1.てっぺんの朝礼とは

 てっぺんの朝礼の目的は、「自分と誰かの心に栄養を与え続けてあげる事」とのことで、仲間に対して本気でほめてあげる、本気で話し合ってあげる、本気で叱ってあげる等、お互いがお互いを本気で認め合うこと、つまりスタッフみんなに心の栄養を与える役割を担っているということです。

 人生がうまくいっているかいないかの質問に対する回答について、9割の人は判断のベースが「お金」や「仕事」ではなく、「人間関係」だと言うそうです(心理学の世界では)。 それほど大切なものであるにもかかわらず、お金を稼ぐことや、仕事を取ってくることにばかり注力して、一体どれだけのリーダーが、スタッフ同士の人間関係を円滑にするのに尽力しているといえるのだろうかという疑問から、この朝礼はスタートしました。

 一般の朝礼とてっぺんの朝礼のどこが違うのか。一般的な朝礼は報連相のためや、情報共有のため、理念共有のため、今日の行動確認のためなどがほとんとですが、てっぺんの朝礼ではこれらのことは一切行われません。これらはすべて朝礼前のミーティングで終えてしまっているのです。要するに、目的が違い、熱さが違うのです。

 てっぺんの朝礼の特徴は、 ・やらされるのではなく、全員が本気である ・朝礼前と朝礼後の心の状態が、大きく変化する。心の底からやってやるぞと最高のj状態になれる ・空気が変わる。店内の熱気がとにかくすごい ・朝礼見学者、参加者がほぼ毎日来店されている ・「何のために」を毎日この朝礼により確認する場となっている 等々

 大嶋さん自身もどうやったらスタッフのやる気に火をつけられるのかをずっと考えてきた中で、「何のためにやっているのか」、「何のためにここにいるのか」という「何のために」を明確にしてあげる事が大切だと気付いたそうです。まさに「夢を持つ人は輝く」、「夢があるからこそ頑張れる」のです。

2. 具体的な朝礼の流れ  

 先に流れとしては、「①状態づくり開始」→「②朝礼モチベート」→「③5分前整列」→「④朝礼スタート」となります。それでは、特徴のある朝礼を1つずつ見ていきましょう。

① 状態づくり開始

  16時になると朝礼の仕切り者(日替わり)が「朝礼開始40分前です」と全員に声を掛けます音楽の音量もさらにアップして、熱気、活気、元気を引き出し、朝礼に向けて心の準備を整えていきます。本気の朝礼を実現するためには、この心の準備が何よりの大切です。最高の朝礼は最高の心の準備から始まるのです。

② 朝礼モチベート

 朝礼開始20分前には、参加者と見学者の皆様を順次店内に案内します。ここでは、まず最高の笑顔と超丁寧なご案内で、心から来ていただけたことへの感謝を込めて、この時点ですでに「やっぱりてっぺんはすごいな」と思ってもらえるよう心掛けています。 また、見学者のほとんどが、参加はいいよ、見学だけするよというスタンスで来られるので、それを参加者へ引き込むためことも、重要な役割です。

③ 5分前整列

 「朝礼5分前になりました。整列してください」の合図で整列する。5分前に整列することによって、時間厳守を徹底します、また立つ姿勢や身だしなみに気を配る時間を設けます。 また参加者全員のモチベーションを全開にあげることを心がけます。 例:今日だけはちょっとあほになってみてください、おもいっきり楽しんでいきましょうなど

④ 朝礼スタート

  まず黙想です。その時に、「これからの人生どんな人生にしたいのか、最大限イメージしてください、どう生きるか、何のために命を燃やすのかイメージしてください」。そして、「はい、目を開けてください」からスタートします。

3. 具体的朝礼の内容  

 参加者全員が腹からの挨拶をした後、「①スピーチ訓練」が始まります。

 ① スピーチ訓練とは、「伝える力」、「聴く力」、「プラスの想い込みに変える」ことを目的とした、挙手型のスピーチチャンスです。テーマは仕切り者が決めて、その日によって変わりますが、必ず前向きなテーマであることが条件です。

 続いて「②ナンバー1宣言」です。先ほどのスピーチ訓練を4-5人が行い、次はナンバー1宣言です。

  ② ナンバーワン宣言とは、自分に対する誓い、公約を宣言するものです。口にしたからには必ず実行です。笑顔日本一や元気日本一等なんでもオッケーです。今できているかいないかは関係なく、自分に約束をします。 これは指名制となり、選ばれた人数人が発表します。これは、逃げ道を作らず、有言実行するためのものです。  

 続いては、「③あいさつ訓練、ハイ訓練」です。

  ③ あいさつ訓練、ハイ訓練とは、事前に決めた仕切り者に従ってテンポよく挨拶や返事「ハイ」を繰り返します。この時の特徴は、一般的なおはようやありがとうではなく、プラスの言葉なら何でもオッケーです。 例:スーパーハッピー、絶好調等

 最後は締めです。朝礼を終えたスタッフは全員が最高の笑顔で、本気の握手をします。本気で握手をするということは、本気で相手を認めてあげているということです。そうして、最高の状態で店開きとなります。

4. 人作りへのこだわり  

 上にもある通り、みんなの「何のため」を明確にすることが重要です。そうすれば、おのずと自分の考えで行動するようになってきます。自分で「何のために」が明確になっているからこそ、人の「何のために」が明確にできるのです。  また、各人の目標に関しても、いつか〇〇したいですではなく、必ず明確な日付を入れて、具体的な日付に向かっての行動を明確にして全力で走ることが大切です。また、1つの目標は夢の途中経過ですので、日付入りの目標は、究極の途中経過ということになります。    求人に関しても、合否の判断をするのではなく、本人に自分の意志で「やるか」、「やらないか」を決めてもらうことで、入社時から本気で取り組んでいくことが可能となります。

 また接客の極意は、「認められタイ」、「ほめられタイ」、「お役に立ちタイ」で、人間の心理には3匹の鯛がいるという話があります。まず、誰の心にも「認められたい」という鯛がいて、同様に「ほめられたい」という欲求の鯛がいます。そして、その2つの「タイ」が満たされてくると、最後にあらわれてくるのが、「お役に立ちたい」という鯛であるという話です。  ですので、まずは入社して自信がないメンバーに対しても、みんなで認めて、みんなでほめてあげることが大事です。また本気でしかってあげることも同様です。

5. まとめ  

 この本とDVDを見て、なにかが熱くなりました。学生の頃の昔を思い出してなんか熱さを感じました。私たちは、人生の大部分を仕事をして過ごす以上、やはり全力で取り組み、厳しくてしんどいけど、楽しいと思えるものにすべきだと再確認しました。  「何のために」を明確にして、それに沿った日付付きの目標設定をすることの大切さを再確認しました。また自分だけでなく、それをスタッフみんなで共有していくことは簡単ではありませんが、まずはリーダーとして立っていく人から順番に共有していきたいと思います。

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