お役立ちコラム

経営力向上計画 その1

今回は経営力向上計画について、ご説明をさせていただきます。

こちらは、各主務大臣へ経営力向上計画を提出することで経営者様が取り組まれたい事業内容について、税制、融資、補助金などで国が優遇をしてくれるものです。

経営力向上計画を作成されて提出することについては、特にデメリットはございませんので、積極的に取り組んでいただければと考えております。


≪概要≫

「経営力向上計画」は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画で、認定された事業者は、税制や金融の支援等を受けることができます。また、計画申請においては、経営革新等支援機関のサポートを受けることが可能です。

簡単にまとめますと下記の4つについて、優遇を受けることができます。

 ・税金の計算で優遇してもらえる。

 ・融資審査で優遇される。

 ・補助金申請の際に採択される可能性がアップする。

 ・事業承継をスムーズに行うための特例がある。


≪対象者≫

経営力向上計画の認定を受けることができる「中小企業者等」の規模は下記のとおりです。

下記のどちらかに該当する必要がございます。

 ○資本金  10億円以下

 ○従業員数 2,000人以下

 ※社会福祉法人、特定非営利活動法人は従業員数2,000人以下のみで判断となります。

 ※適用を受けたい優遇措置ごとに規模の要件は異なりますので、事前にご確認の上、適用の検討をお願い致します。


中小企業者等に該当する法人形態は下記のとおりです。

 ①個人事業主

 ②会社(会社法上の会社(有限会社を含む。)及び士業法人)

 ③企業組合、協業組合、事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会、水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会、商工組合(「工業組合」「商業組合」を含む。)、商工組合連合会(「工業組合連合会」「商業組合連合会」を含む。)、商店街振興組合、商店街振興組合連合会

 ④生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会、酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会、酒販組合、酒販組合連合会、酒販組合中央会、内航海運組合、内航海運組合連合会、技術研究組合

 ⑤一般社団法人

 ⑥医業を主たる事業とする法人

 ⑦歯科医業を主たる事業とする法人

 ⑧社会福祉法人

 ⑨特定非営利活動法人

 ※①、②、⑥~⑨については、資本金額10億円以下又は常時使用する従業員数が2000人以下である必要があります。④、⑤については、構成員の一定割合が中小企業であることが必要です。

 ※①個人事業主の場合は開業届が提出されていること、法人(②~⑨)の場合は法人設立登記がされていることが必要です。


≪流れ≫

1.適用を受けたい制度内容を確認。(税制優遇、融資支援、補助金申請など)

2.各支援措置の要件や手続き内容を「中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き」にて確認。

 下記、URL参照

   https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/pdf/tebiki_zeiseikinyu.pdf

3.経営力向上計画の策定。(申請書作成)

  ①取り組む予定の事業内容について、「日本標準産業分類」で該当する事業分野を確認

  下記、URLで該当する事業分野が確認することができます。

   https://www.e-stat.go.jp/classifications/terms/10

  ②①で確認できた取り組まれる事業分野に対応する指針を確認。

下記のURLで取り組まれる事業分野が記載されている場合には、記載されている指針を踏まえて計画を策定し、申請書類の作成をしていただく必要があります。

取り組まれる事業分野が記載されていない場合には「基本方針」を踏まえて策定と、作成をお願い致します。

 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/kihonhoushin.html

  ③経営力向上計画の申請書類を作成。

4.申請される主務大臣に計画申請書を提出。

 申請から認定までに約30日~45日くらいまで期間を要します。

 認定がされると主務大臣から計画認定書と計画申請書の写しが交付されます。

5.作成された経営力向上計画に基づいて実行。


≪メリット≫

先ほどにも記載しました通り、優遇を受けることができる内容は複数ございます。

税制、金融、補助金、事業承継など。各内容について、ご説明をさせていただきます。

まずは、金融支援(融資関係です。)


経営力向上計画が認定された事業者は、政策金融機関の融資、民間金融 機関の融資に対する通常とは別枠での信用保証、債務保証等の資金調達に 関する支援などを受けることができます。


①日本政策金融公庫から受ける融資について

経営力向上計画の認定を受けた事業者が行う設備投資に必要な資金について、融資を受ける事ができます。

  貸付金利

   中小企業事業 基準利率(設備資金については2億7,000万円を限度として特別利率②)

   国民生活事業 基準利率(設備資金については2億7,000万円を限度として特別利率C)


  貸付限度額

   中小企業事業 7億2,000万円(うち運転資金2億5,000万円)

   国民生活事業 7,200万円(うち運転資金4,800万円)

  貸付期間(中小企業機事業、国民生活事業ともに)

   設備資金   20年以内

   長期運転資金 7年以内(据置期間2年以内)


②中小企業信用保険法の特例

 中小企業者は、経営力向上計画の実行(※)にあたり、民間金融機関から融資を受ける際、信用保証協会による信用保証のうち、普通保険等とは別枠での追加保証や保証枠の拡大が受けられます。

(※)新商品・新サービスなど「自社にとって新しい取組」(新事業活動)及びM&A等による事業承継に限ります。

保証限度額(別枠)

 普通保険     2億円(組合4億円)

 無担保保険    8,000万円

 特別小口保険   2,000万円

 新事業開拓保険  2億円→3億円(保証枠の拡大)

 海外投資関係保険 2億円→3億円(保証枠の拡大)


③中小企業投資育成株式会社法の特例

経営力向上計画の認定を受けた場合、通常の投資対象(資本金3億円以下の株式会社)に加えて、資本金額が3億円を超える株式会社(中小企業者)も中小企業投資育成株式会社からの投資を受けることが可能になります。


④日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット

経営力向上計画の認定を受けた中小企業者(国内親会社)の海外支店又は海外子会社が、日本公庫の提携する海外金融機関から現地通貨建ての融資を受ける場合に、日本 公庫による債務の保証を受けることができます。

 補償限度額 1法人あたり最大4億5000万円

 融資期間  1~5年 中小企業者向け


⑤日本政策金融公庫によるクロスボーダーローン

経営力向上計画の認定を受けた中小企業者(国内親会社)の海外子会社は、経営力向上計画等の実施に必要な設備資金および運転資金について、直接融資を受ける事ができます。

 貸付金利  基準利率(ただし、4億円を限度として特別利率③)

 貸付限度額 14億4,000万円(長期運転資金の場合は、9億6,000万円)

 貸付期間

 設備資金   20年以内(据置期間2年以内)

 長期運転資金 7年以内(据置期間2年以内)

 ※米ドルの場合は15 年以内となります。


⑥中小企業基盤整備機構による債務保証

資本金10億円以下又は従業員数2千人以下の中堅企業等(※)が、経営力向上計画を実施するために必要な資金について、保証額最大25億円(保証割合50%、最大50億円の借入に対応)の債務の保証を受けられます。(※)中小企業者は含まれません。


⑦食品等流通合理化促進機構による債務保証

食品製造業者等は、経営力向上計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際に信用保証を使えない場合や巨額の資金調達が必要となる場合に、食品等流通合理化促進機構による債務の保証を受けられます。


次回は経営力向上計画での税制優遇などのメリットについて、ご説明させていただきます。

経営力向上計画は経営者様にとってメリットが多いものとなりますので、ご参考いただければ幸いです。ありがとうございました。

【参考】

 経営力向上計画策定の手引き

   https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/pdf/tebiki_keieiryoku.pdf

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