ブックレビューNO.10
今回の本は、香取貴信さんの「社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった」です。この本では、ディズニーランドで働く中で、「働くとはどういうことなのか」、「教育とは何か」、「サービスとは何か」について、愛情あふれる厳しい上司や同僚達から学んでいくというストーリーです。
具体的には、
1.働く事とは
ディズニーランドでは、「仕事」=「お客様」で、どの上司や先輩も一緒で、いつでも会話の中心にはお客様がいます。怒られるときも褒められるときもその中心にはいつもお客様がいます。
例えば、ミスをして怒られたとき、多くの人はチームのメンバーに申し訳ないと感じるのではないでしょうか。しかし、ここでは、メンバーに対してではなく、お客様に申し訳ないと考えます、こういったところにもお客様が中心となっているので、変な考えなく、自然と真剣さを持ち合わせていくのだそうです。
これはディズニーランドだけではなく、どんな仕事においても同じで、大切にしなければならないものがあるはずです。その大切なものを心から大切に思う事、それが働くということです。
2.教えるとは
人間はタイミングや時期を問わずに、本当に良い教育を受けることができたら、必ず素晴らしい人間になれます。その素晴らしい教育とは、1つ1つの事に対して、自分自身で悩んで、考える癖をつけてあげることです。
当たり前と思っていることや、小さいことだからいいかと惰性で判断してしてしまわない様にしっかり考えて行動することがとても重要となります。ですので、その手順を一緒に考えることこそが、教えるということになります。
例としてあがっているのは、「みだしなみ」ですが、「これは会社の規定だから守りましょう」と伝えると、隙あらばとなってしまうようで、そうではなく、「なぜみなしなみか」→「会社の規則だから」→「なんで規則がある?」→「みんなが不快にならないため?」→「あなたの身だしなみはどう?」→「より清潔に見せるには?」という様に、自分で考えられる様に掘り下げて、一緒に考えて自分で納得しながら身につけていく方法です。
3.本当のサービスとは
私たちができる「サービス」とは何か。お客様の期待を超えるサービス、「本来のサービス」を提供するにはどうしたらいいのか。それは、誰にでもできることであり、またとても大切な条件になります。
①いつでも絶対に手を抜かない事
②いま目の前にいる人に全力で接する事
です。
物事がうまくいったか、下手だったかという事を気にする人が多いですが、本当に大切なのは、そのことに全力で取り組めたか、本気で向かい合ったかです。私たちは話をするプロではないので、話し方が上手にできたら良いのではない、という点は非常に重要な気づきだと思いました。
4.テーマパークとは
ここでは、トイレ掃除が例であげられており、ゲストが使って汚れているトイレを素手できれいにしていくというものです。出来る社長は背中でみせるじゃないですが、毎朝トイレを掃除するといった話を良く耳にします。
そこだけでも十分にすごいことだなと感じていますが、実際にこの本を読んでさらに難しさを感じたのは、汚れたトイレを見つけた時に、目をそらさずに迷わず掃除することを継続することだと思います。
誰も見てないから今日はやめておこうや、今日はちょっと体調が悪いからやめておこうなど、続けない理由を見つけるのは非常に簡単です。
本当にゲストのためにと思えているかが判断できる良い例だと思いました。またそれと同時にさぼろうと思ってしまった自分自身に対する大きな失望感がでることも容易に想像できました。
なんの仕事でもそうですが、使命をもって行っているつもりが、日々同じことを繰り返しているうちに作業になってしまっている事があります、この点は私にとって意識して気をつけないといけない大事なポイントだと感じました。
5.まとめ
この本を読んで思ったことは、人はみんな日々の生活の中でたくさんのチャンスが訪れるものですが、そのチャンスがいつきてもいいように、常に目の前の出来事に対して気を抜かず、全力で向き合っていくことが重要だと思いました。
また、その心を保っておくためには、なぜ全力なのか、なぜやるのかを自問自答して、心で納得したうえで行わないと継続することができない点も非常に学びとなりました。なんとなく良さそうだからやってみようとはじめる行動力も大事ですが、併せて常に気を付けないといけない事だと感じました。
最後に、この本は、具体的な事例がたくさん記載された本ですので、なかなかうまく伝えられていませんが、具体的だからこそ、なるほどなと、すーっと心に入ってくる非常に読みやすい本でした。心が疲れた時に読むとより力をもらえるのではないでしょうか。